さっきまでの夕立が、すっかりあがって、京の町は、生々と街路樹の緑に輝いています。
雨宿りに入った甘味処で、心太に、葛餅に冷たい麦茶をいただきます。床の間には、鷺草が生けてあります。
盆地である京の夏は、むし暑く、町の人は皆、知恵をしぼって涼をとります。門口に打ち水をしたり、夏座敷に風鈴をつるし、籐むしろを敷いて、すだれをかけます。
七月は、祇園祭です。七月一日から行事は始まり、十七日の山鉾巡行はクライマックス
です。
その前に、鉾たての様子を見たり、宵山の夜店に遊ぶのも、風情のあるものです。
夜店の灯にさそわれて、ラムネやひやしあめ、わた菓子を楽しみながら、そぞろあるく京の町。もちろん浴衣を着て…。
七月の味わいはというと、もちろん、鱧です。梅肉などであっさりといただきます。鯉の皮をきゅうりと和えて酢のものにしてもいいでしょう。
それに合わせて、冷奴。薬味に、みょうがやしょうがを添えると。涼しさが増します。
ごはんをたく時に、一緒に新藷を入れてふかして、ごはんつぶのついたままのふかしいもをいただいた、幼い日のことを思い出します。
冷水に浸しただけのトマトの皮をむいて、さくさく切り分けていただくのも美味です。きざんだ玉ねぎと酢とサラダ油のドレッシングで…。
縁側で夕涼みをして、線香花火に見入った日が、幻灯の影絵のように思い出されます。