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4月のサイエンス健康と美容と生活の百話―食事と健康と美容C
健康と美容と生活の百話―食事と健康と美容6 中津 哲夫

「緑茶とアルツハイマー病・認知障害」

「アルツハイマー病・認知障害」

  高齢化にともなって、アルツハイマー病(AD)やその他の認知障害(痴呆症)は社会・家庭内でますます大きな問題となっています。特に1990年以前には、稀な疾患だったADは90年半ばから毎年右肩上がりに、急速に患者数が増えています。ガンや心臓疾患などによる死亡者数が横ばいになっている最近になっても、同じ割合で増え続けています。

 原因が分かり、治療や予防が、ある程度可能なガンや心疾患とは異なり、ADや2型糖尿病では、「ある種のタンパク質が脳内に増える」「血糖のコントロール」ができないという体の中でおきている変化・障害は分かっていますが、何故そうなるのかという真の原因は分かっていません。さらに治療だけでなく、本質的に進行を遅らせることのできる効果的な薬剤もまだありません。現状のまま推移すれば、いずれは最大の死亡原因となるでしょう。

 「転ばぬ先の杖」

 病気に限らず、会社や家庭での危機管理など、何事においても治療よりも予防が一番です。 「カリウム保持作用のある利尿剤を服用している人では90%以上でアルツハイマー病(AD)を発症する人が少ない」と米国ユタ州のグループが報告しています。カリウム保持剤は、血中のカリウムの濃度を上げる目的で使われ、カリウムを摂取するよりもカリウムの分泌を促進させる薬剤の方が効果があります。報告はADに焦点を合わせていますが、185名中ADは104名で残り81名は別の原因の認知障害でした。日本人はADよりも脳血管障害による認知障害の方が多いとも言われていますが、実数はそれほど変わらないのではないでしょうか。

「緑茶と日本人」

 茶には優れた利尿作用がありますが、緑茶は、認知障害の予防になるのでしょうか。 東北大のグループが、示唆に富んだ報告をしています。[注] 仙台市近郊住宅地の高齢者を対象として、聞き取り調査をして、認知障害と緑茶、紅茶、コーヒーの飲んだ量との関係をしらべたものです。ただ、この報告では、認知障害というだけで、ADであるのかその他の原因によるものであるのかの区別をしていません。  70歳以上1003人について飲み物、緑茶・紅茶・コーヒーと認知試験のスコアーを比べたものです。表はどれくらい飲んでいるのかを示しています。緑茶を毎日数回飲んでいる人が、100人中、72名と圧倒的に多く、一回の人を含めると83人もの方が緑茶を毎日飲んでいました。

 だれでも一度は薬に厄介になったと思います。必ず、「毎食後と就寝前(一日4回)とか12時間ごと(一日2回)に服用するように」と医師に言われます。これは薬剤が効果を発揮するためにはある一定以上の濃度を常に保つ必要があるからです。これと同じで、緑茶を毎日数回飲まれている人では、緑茶の成分が常に体の中にある一定量以上あると考えられます。また、毎日ある程度決まった時に飲まれる人が多いでしょう。食品でこのようなものは他に牛乳や人によってはオレンジジュースや味噌汁などがあります。

「緑茶の効果」

 図は飲料の回数と質問形式による認知障害の関係を示しています。緑茶を飲んでいる人で、毎日2杯以上、毎日1回、週に2回(一日0.5回)の人を比べてみますと、2回の人は、0.5回の人に比べて半分以下という結果でした。紅茶やコーヒーでは統計的な差はありませんでした。  もし、緑茶に本当に認知障害に対する予防効果があるとすれば、薬と同じで、毎日、複数回ほぼ決まった時間にとるということは大変重要な意味をもっています。

「緑茶の成分」

何か緑茶には、予防効果があるのかということになりますが、利尿作用と言う点では、緑茶とコーヒーにあると言われていますが、カリウムだけについてみますと、コーヒーに一番多く含まれています。次回にさらに詳しく話をします。
 


中津哲夫
理学博士。大阪生まれ、東北大学理学部化学第二学科卒、ヒマラヤや沖縄の生理活性天然物の研究で博士号取得。カリフォルニア大学研究員の時代に海藻などの海洋成分の研究、その後腸内細菌研究を経て、高砂学際科学研究所(カリフォルニアとニュージャージ・所長)で世界の民間薬、香料と感覚能の研究を行い、International Art and Science Group Inc.をニューヨークで創設し、環境と生活科学を主に研究と開発を行っている。
趣味:現在、発明に没頭中。登山(東北大学ヒマラヤ遠征登はん隊長)。草テニス。
E-mail: tetsuo@iaasg.com

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